今日の出来事__
9月16日(金) 全校集会(2学期正副級長任命式)
 2学期の正副級長任命式を行いました。正副級長となった6名のみなさん、2学期を終えるときに「挑戦したー」と思えるように、自分の長所を生かしてみんなのために取り組んでくださいね。正副級長のことをみんなが支えてくれるはずです。思い切ってやっていきましょう。
 正副級長任命式に続いて、「ロバを担いだ幼い兄弟」という寓話を紹介しました。
 ある村に幼い兄弟が暮らしていました。この兄弟は、真面目で賢い兄弟だと村中の評判でした。ロバは、体が小さいながら耐久力があり、粗食にも耐え、少量の水で生きられることから、多くの家で家畜として飼われていました。働き者の兄弟は、毎日ロバの世話をして、畑で作った野菜をロバに沢山積んで、町に売りに行きました。いつものように、町で野菜を全部売った兄弟が、心地良い脱力感を抱きながら家路を帰っていたときです。
 一人の旅人とすれ違いました。その旅人は、兄弟たちを見て言いました。「なんと要領の悪い兄弟だ、ロバの背が空いているじゃないか。ロバに何も載せないなら、どちらかが乗ったらいいのに」と。言われてみればその通りです。兄弟は話し合い、「じゃあまず、お兄ちゃん乗りなよ」弟の勧めで兄がロバに乗り、弟が手綱を引きました。
 すると、二人目の旅人が近づいてきて、言いました。「兄のくせに、幼い弟を歩かせるとは、思いやりの無い奴だ」と。それを恥じた兄は、ロバから降りて、遠慮する弟をロバに乗せ、自分が手綱を引きました。
 次に、三人目の旅人が来て、「弟のくせに年上の者を敬う気持ちがないのか!」と言いました。びっくりした弟は、急いでロバから降りました。そして二人は考えました。「そうだ、二人一緒に乗れば誰からも文句を言われないね」。兄弟は、小さなロバの背に乗り、家路を進みました。
 すると四人目の旅人がやってきて、「小さなロバに二人も乗りおって、ロバがかわいそうだとは思わんのか、動物虐待だ!」と言いました。兄弟は途方に暮れました。誰も乗らなくても文句を言われ、兄が乗っても弟が乗っても二人で乗っても、文句を言われたからです。そして、とうとうロバを担いで帰っていきました。
 どの旅人の考えももっともですし、この兄弟は旅人の意見をしっかりと聞いているので、よい気がしますよね。でも何か変です。人の意見に耳を貸す。これは大切な事です。では、何の為に耳を貸すのでしょうか・・・。それは、自らの成長のためですよね。自分には無い他人の視点が、自分の視野を広げてくれるからです。つまりそれは、自分を満たす行為と言え、決して、自分を失うためではないのです。
 結局、この兄弟に足りなかったのは一体何だったのでしょう?それは、「主体性」です。どうすれば良かったかといえば、いろんな意見を聞いた後、自分の心に正直に従えば良かったのです。例えば、一人目の旅人にこう答える事が出来たでしょう。「ご忠告、ありがとうございます。でも、私たちは別に疲れていませんし、こうしてゆっくり歩くのは気持ちがいいんですよ。」あとは、旅人が何人いようと同じですね。どう考えたって、ロバを担ごうという発想にはいきつきません。旅人に罪はありません。人の数だけ考えがあるのです。
 よく聞いて、それから自分に問いかけるのです。「私はどうしたいのだろう?」と。そして、最終的に自分で考えて納得した結論を出し、行動する。私は、これがみなさんに今求められている力だと思います。ですから、こういった場面が沢山ある授業に先生方が取り組んだり、みなさんが主体的になって対話を大切にするような行事にしているのです。ただ聞くだけでなく、ただ発表するだけでなく、主体性をもって考えて言動をする姿、そこにみなさんの思いやりが加わると最高です。頑張っていきましょう。
2022年09月20日
杉本 知之